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執筆者の写真日本口腔保健協会

「就労世代の歯科健診の推進に関する検討」日本歯科衛生学会で発表!!

2024年9月21日~23日「朱鷺メッセ 新潟コンペションセンター」にて、日本歯科衛生学会第19回学術大会が開催されました。

メインテーマは「ライフコースを通した健口文化の醸成」






目的

生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)を実現する上で、法定健診がなく、且つ、多忙な就労世代に対する歯科健診の取組みが課題となっています。

また、交代勤務やテレワーク等、多様な勤務形態の普及により、集合型歯科健診の受診も厳しい状況です。

そこで、就労世代の歯科健診受診率を高めるための試みとして、事業所での一般健康診断(以下、一般健診)と同時に歯科健診を実施し、その参加状況を調べるとともに、受診経験の有無と口腔状況の関連性について調べました。



対象および方法

◆調査対象者

 調査対象者は、2023年度の某事業所の職域口腔保健活動において一般健診と同時に歯科健診を受診した者。

同事業所は、2022年度まで歯科健診を単独実施していました。

一般健診受診者258名の内、歯科健診受診者は256名であり、ほぼ全員が受診しました。2022年度の歯科健診単独実施の際は60名 (図1)



 2023年度の歯科健診受診者256名のうち、職域歯科健診の受診経験なしは153名(59.8%) に対し、受診経験ありは103名(40.2%)でした。

受診経験は本人への聞き取りにより調べました。

調査対象者全体の性別・年齢別の内訳は(表1)、職域歯科健診受診経験有無別の性別・年齢別の内訳は(表2)のとおりです。



 倫理的配慮として、調査報告にあたり対象者には同意を得て行い、データの取扱いは個人が特定されないよう匿名化しました。



◆調査項目・方法

1.歯および歯肉の状態 

 ①歯の状態

  全歯を視診により診査し、以下のとおり分類 (図2、図3)

 「未処置歯あり」「喪失歯の未補綴あり」

 ②歯肉の状態

  CPI代表歯法で診査し、診査基準に則り以下のとおり分類 (図4) 。

    「健康」「歯肉炎」「4mm以上の歯周ポケット」





2. 歯口清掃習慣

 直接本人から聞き取り記録 (以下の選択肢より1つを回答) 。

   ①1日の歯みがき回数  (図5)

    「0回」「1回」「2回」「3回以上」

   ②歯間部清掃器具の使用状況 (図6)

    「ほぼ毎日」「週1回以上」「使用していない」



結果および考察

受診経験なしの者は、歯や歯肉の状態に問題がある割合が高く、歯口清掃習慣が不十分である割合も高い傾向でした。

受診経験なしの者の中から、次の声が聞かれました。


「痛くないので気がつかなかった」

「歯科医院に行く時間がない」

「歯のみがき方がわからない」

「歯科医院に通う習慣がないため、何と言って予約すればよいかわからない」

「今回の健診をきっかけに通院しようと思う」



結論

今回の調査結果から、多忙な就労世代の歯科健診は、受診機会の確保や健診受診による職場の離席時間を短縮するため、一般健診との同時実施などの検討が必要であり、あわせて口腔リテラシー向上のための支援の必要性が示唆されました。


 

最後まで読んでいただきありがとうございました。



日本口腔保健協会では、全国どこでも歯科健診を実施しております。

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